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ことばラボ 読みの実験室 第10回

by 2017年4月 1日 10:35 PM

ことばラボ最終回「ぼくらの物語」
 第10回目である最終回はアゴタ・クリストフ『悪童日記』を採り上げます。
これまでこの会でははからずも土地をめぐる小説にスポットが当たってきたわけですが、 今回は生まれた土地から移動した作家が別の場所で別の言語を使って紡いだ言葉に耳を傾けたいと思います。 このように言語的越境を果たした作家らはもちろんそれぞれことなる動機によって母国語でない言葉を選択し、 またそれぞれ独自の文体/スタイルを持っているわけですが、小説というジャンルの可能性を広げるような 文体的試行錯誤を重ねている点で共通しています。
 アゴタ・クリストフはハンガリー動乱の最中にフランス語圏スイスに亡命し、大人になってから
勉強を始めたフランス語によって小説を書いています。彼女は主人公である双子が「ぼくら」として 一人称複数で語るという文体を用いています。また、「作文の内容は真実でなければならない」という ルールのもと双子自身によって書かれたものがそのまま『悪童日記』というテクストそのものに なっているというメタフィクションでもあるわけです。このようなややややこしい小説を読み解く為には、 作家の個人的体験、作家を取り巻く歴史的状況だけでなく、彼女の文体にも意識的になる必要があると考えられます。 第二次大戦末期から戦後にかけての数年間にハンガリーの田舎町とおぼしきで場所で起こった出来事が双子によって どのように書かれたのかに目を向けて、クリストフによる創作について考えてみたいと思います。
 前回まではテクスト外の情報にも注意して読むということを考えてきたわけですが、
そうした読みを踏まえつつ、もう一度作品の内部に分け入って行くような読みをしてみたいと思います。
(担当:戸丸)
事前にアゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワepi文庫)を読んで来て下さい。
 
***    日時:2015. 3. 17(火)19:30〜21:30  料金:¥1,500(1drink)  お問合せ:tomasson.y@gmail.com  場所:ニューロ吉祥寺  テクスト:アゴタ・クリストフ悪童日記』(ハヤカワepi文庫
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------------------- ことばラボとは -------------------

「あなたが好きな本」をいくつか思い浮かべてみてください。
そのなかに小説はどれほどありますか。
それらお気に入りの小説たちをあなたが初めて手にとったのはいつで、当時あなたはなにを想い、
それからどれくらい読み返したでしょうか。小説は刻々と変化していきます。
紙に書かれた文字が同じでも、それを読む私たちが変わっていくからです。 

「小説の世界」と一口に言っても、書かれた時代や文化は様々で、さらに読み手の解釈は千差万別。
たったひとつの読みでは完結できないルーズさこそが、小説の豊かさでもあります。 
「あなたの読み」と「私の読み」が出会うとき、小説の世界は今までとはまたちがう表情をのぞかせるはず。

若い文学研究者たちが提案するいくつもの読みのアングルを触媒にして、ともに新しい小説の世界を
試行錯誤してみませんか。 ことばラボはそんな「読みの実験室」です。 

 

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